改正後の確定拠出年金法では、商品提供数に上限が設けられるとともに商品の除外要件が2/3の同意に緩和されることになりましたが、一方で既に提供され選択されている商品については従来通り全員の同意がないと除外できないという、一見矛盾した規定になっています。

この点について、昨日(講師の1人として)参加してきた企業年金連合会のセミナーの中で、簡潔にまとめられた資料があったので、その内容をもとに整理しておきたいと思います。

まず、商品数の制限に関する規定の施行日は「公布から2年以内の政令で定める日」ということで、遅くとも2018年6月には施行されることとなります。以下、仮に2018年6月1日に施行されるものとして話を進めていきます。

例えば、2018年6月1日時点での商品提供数が30で、政令より定められた商品数の上限が20(注:実際の上限は未定)だったとすると、施行日から5年間、2023年5月までは経過措置により30本の商品について引き続き掛金の拠出、運用が認められます。 

そして2023年6月以降は20の上限が適用され、この20本に入らなかった残りの10本については新たに掛金を拠出することができなくなりますが、強制的に解約されるということではなく、引き続き商品を保有して運用を続けることは可能です。

次に商品の除外に関してですが、2018年6月1日時点で既に提供されている商品について、その後2/3以上の同意を得て除外されることとなった場合には、やはり強制的に全て解約ということではなく、全員の同意がない限りは引き続き商品を保有して運用を続けることが可能となります。

一方で2018年6月以降に追加された商品については、2/3以上の同意により除外されたときには全て解約されることになると考えられます。

まとめると、
  • 遅くとも2023年6月以降については掛金を新たに拠出できる商品数を20(仮)に絞らないといけないが、そこに入らなかった商品についても運用のみを続ける「閉鎖型」として持っておくことができる。
  • 商品の入れ替えのため、2/3以上の同意により施行日前からの提供商品を除外することもできるが、この場合は解約により完全になくなってしまうわけではなく、「閉鎖型」の商品として残ることとなる。
ということになりそうです。

ちなみに、2/3以上の同意の取得にあたっては住所等が把握できている者(連絡がつく人)を対象とすればよく、一定期間たっても意思表示がない場合は同意したとみなすこととされる予定です。

<2017年9月27日追記>
厚生労働省から公表された政省令案により、施行日は2018年5月1日、運用商品数の上限は35本と示されました。