だいぶ前の話になりますが、年金基金の解散に関わるコンサルティングを行ったことがあります。比較的手厚い年金制度を設けていたのですが、会社の業績不振もあって受給者への年金給付の負担が重くなり、経営トップの判断により全て清算することとなりました。

基金を解散するとなった場合に一番大変になってくるのが受給者への説明です。法令上、基金の解散にあたって受給者から同意を得る必要はありませんが、事前に「十分な説明」を行っておくことが求められます。

行政や幹事会社である金融機関との折衝と並行して、受給者への説明文書(手紙)、説明会に向けた資料や想定問答などの準備を進め、私も質疑応答に備えて説明会に同席することになりました。

出席者がどんな反応を示すのか、やや緊張しながら会場に入りましたが、あちこち談笑する声も聞こえ、さながらOBの同窓会のような雰囲気も感じられるほどでした。

そして説明会が終わった後、1人の方が前に来て「こういうことを言うのは変かもしれませんが、今回このような機会を設けていただいてありがとうございました。」と感謝の言葉をかけてくださいました。まさかそんな場でお礼を言われるとは思っていなかったので、今でもとても印象に残っています。

もちろん、出席者全員がそんな気持ちをもっていたわけではないと思いますし、この会社の社員の気質みたいなものもあったのかもしれませんが、受給者の理解を得るために関係者とともにできる限りの対応を考え、準備してきたことで、大きなトラブルもなく解散の手続きを進めることができたのではないかと今振り返っても思います。

来週のセミナーではそんなエピソードも交えながら話そうと思っています。