これまで「リスク分担型DB」と表記されていたいわゆる第3の企業年金ですが、昨日紹介したパブリックコメントでは「リスク分担型企業年金」という名称になっていました。

昨日の企業会計基準委員会(ASBJ)の議題も
  • 実務対応報告公開草案「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」【公表議決予定】
となっていますね。(これを書いている時点ではまだ公開草案はアップされていませんが…)

4月28日の企業年金部会で「DB」が「確定給付」をイメージさせることから誤解のないように名称を変更してほしいという意見があり、これも踏まえて「確定給付」という文言をあえて外したのかもしれません。ASBJとしても基本的に確定拠出制度に分類する考えですので、「確定給付」は名称にないほうが好都合でしょう。

また、現在は同じ企業で異なる複数の確定給付企業年金を実施することは原則として認められていませんが、今回の改正案では「リスク分担型企業年金」と「リスク分担型企業年金でない確定給付企業年金」をそれぞれ実施する場合はこれを認めることとしています。

つまり従来型のDBでも、DCでもない、第3の企業年金であることを明示した形となっています。しかし法律上はあくまでDBの一種という取り扱いです。

DB法の法案を作成したとき、将来こんな制度が導入されるだろうとは全く想定してなかったことでしょう。しかし、給付額の算定方法については法律の中で具体的な規定を定めていなかったことが幸いし(?)、法律を改正することなく(つまり国会を通すことなく)第3の企業年金を立ち上げることができました。

なお名称に関して個人的な考えを言えば、実際にはリスクの「分担」ではなく、事業主から加入者へのリスクの「移転」なので(リスクを分けあうわけではない「リスク分担型DB」を参照)、リスク分担という文言も外して例えば「給付調整型企業年金」としたほうがより実態に即しているように思います。

さて、リスク分担型企業年金では資産運用のリスクを負うのは基本的に従業員側であるため、今回のパブリックコメントでは運用の基本方針の作成・変更にあたって加入者の意見を聴かなければばらないとしています。そして加入者の代表者は、規約に定めるところにより専門的知識及び経験を有する代理人(つまりコンサルタント)に意見を述べさせることができるとされています。

しかしコンサルタントに入ってもらうとなれば費用が発生します。労働組合があればある程度費用負担もできるかもしれませんが、なければ現実的ではないでしょう。一般人である従業員代表が自ら運用の基本方針について何か意見を述べるというのは無理がありますから、このあたりはちゃんと考えないと形骸化してしまうでしょう。

企業側を見ても資産運用に精通した人材を確保できているケースは多くはありません。リスク分担型企業年金をまともに運営していこうとするなら、まずは労使が共に学ぶ場を設ける必要があるのではないでしょうか。