今日も確定拠出年金(DC)法の改正項目の中から、事業主によるマッチング拠出を取り上げます。

企業型のDCにはマッチング拠出という仕組みがあります。企業が拠出する掛金に、従業員が自分の給与から上乗せすることができる制度です。すでに3割以上のプラン(規約)で導入されています。

そして今回の法改正では、従業員100人以下の中小企業を対象に、個人型のDCに加入している従業員に対して会社のほうが上乗せして掛金を拠出できる仕組みが盛り込まれました。いわば「逆マッチング拠出」です。

しかしDC発祥の地であるアメリカでは、マッチング拠出は「個人が拠出する掛金に企業が上乗せすること」を意味します。つまり、今回の改正で新たに盛り込まれた中小企業限定の「逆マッチング拠出」こそが、本来のマッチング拠出であると言えます。

個人型DCの加入率は現状極めて低く(加入可能者全体の1%未満)、事業主によるマッチング拠出は個人型DCを普及させていくための有効な手段となりうるものです。従業員にDCのメリットを熱心に説くよりも、たとえ月1000円でも「加入者には会社が掛金を上乗せします」としたほうが効果的かもしれません。

今回の法改正では、事業主によるマッチング拠出を導入できるのは企業年金を実施していない中小企業に限定されていますが、同様の対応は他の企業でもやろうと思えばできます。「個人型DCに入るので、月○○円給与天引きしてください」という従業員に対して「じゃあそのうち△△円は会社が補助しましょう」とすればよいわけです。

△△円は手当等として一旦従業員の給与に上乗せしたうえで、もともともらっていた給与の一部とあわせて○○円を個人型DCの掛金として拠出するということです。

ただ今回認められた事業主マッチング拠出と全く同じというわけではなく、一旦給与に上乗せされることで社会保険料の負担が会社側・従業員側とも増えてしまうという違いがあります。

今回中小企業に対象を限定した趣旨は、厚生年金基金の解散等による中小企業の企業年金実施率の低下を補完することであり、「従業員が100人を超えたら企業型DCを実施してください」ということでもあります。しかし、会社として企業型DCを入れるのか、個人型DCを支援する立場をとるのかは、従業員規模に関わらずそれぞれの会社の事情や考え方によって決められるべきものではないかと思います。

「従業員が100人を超えたので掛金の上乗せはなくなります」なんてことのないように、事業主マッチング拠出を解禁した以上は中小企業に限定せず、どんな規模の会社でもできるようになることを期待したいと思います。