日本の企業年金制度の2本柱である「確定給付企業年金」と「確定拠出年金」(ちなみに、確定拠出のほうだけ「企業」がついてないのは、個人型もあるからです)。

字面のとおり、確定給付企業年金は先に給付が確定していて資産運用の結果によって掛金が変動する制度、確定拠出年金は先に拠出する掛金が確定していて資産運用の結果によって給付が変動する制度、といった説明がされたりします。

この説明、間違いとまでは言いませんが、給付や掛金が「確定」しているというのは、ちょっと誤解を招きかねない表現です。

正確に言うと、これらの制度では将来の給付や掛金の金額が必ずしも確定しているわけではありません。例えば、給付や掛金が給与やポイントの一定割合として定められている制度であれば、将来、給与やポイントがどのように推移するかによって金額は変わります。

「確定給付」や「確定拠出」という用語は、英語の「defined benefit」「defined contribution」をそれぞれ訳したものです。しかし、「defined」は本来「定義された」という意味であり、「確定」とはややずれています。

原語に忠実に、できるだけ正確に表現するなら、
  • 「確定給付(defined benefit)」とは、給付額の計算式があらかじめ定義されており、その給付を賄うために拠出すべき掛金が事後的に決まる制度のこと。
  • 「確定拠出(defined contribution)」とは、拠出すべき掛金の計算式があらかじめ定義されており、その掛金の積立と運用収益によって給付額が事後的に決まる制度のこと。
といったところでしょうか。

しかしこれを一般社員向けの説明に使ってどこまで理解してもらえるかというと、なかなか難しいと思います。

より原語の意味に近い訳語として、「確定給付」ではなく「給付建て」、「確定拠出」ではなく「拠出建て」というのもありますが、まあピンとこないでしょうね。

原語の意味にとらわれず、例えば、
  • 確定給付 → 後払い型:従来の退職金と同様に、社員個人への給付は退職後に支払われ、それまでの積立・運用は会社の責任で行う制度のこと。
  • 確定拠出 → 前払い型:入社した時から社員個人の口座に毎月掛金が振り込まれ、引き出せる時期(60歳以降)になるまで個人の責任で運用する制度のこと。
としてしまったほうが分かりやすいように思います。

普段から退職金や企業年金に関わっていると、こうした基本的な用語はあまり意識せずに使ってしまいますが、社員に正しく伝わるようにするためにはよくよく考える必要がありますね。