資産運用の世界でよく言われる言葉に「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」というのがありますが、この2つの言葉の意味するところを正しく理解するには、正しい条件の向きを知っておくことが重要です。

どういうことかというと、

「ハイリスク・ハイリターン」とは、
  • 大きなリターンを得るには大きなリスクをとることが必要:○
  • 大きなリスクをとれば大きなリターンを得ることができる:×
「ローリスク・ローリターン」とは、
  • リターンが小さいものはリスクも小さい:×
  • 小さいリスクしかとらなければ小さいリターンしか得られない:○

つまり、「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」では、条件の向きが逆になっているのです。

でもよくよく見れば、「小さいリスクしかとらなければ小さいリターンしか得られない」は「大きなリターンを得るには大きなリスクをとることが必要」の言い換えにすぎないですよね。

こうした関係を、数学や論理学では「対偶」と呼んでいます。「AならばB」と「BでないならばAでない」という2つの主張は全く同じと言うことです。

今回の例で言えば、Aは「大きなリターンを得ること」、Bは「大きなリスクをとること」となります。「AならばB」「BでないならばAでない」は成り立ちますが、「BならばA」「AでないならばBでない」は成り立ちません。

ことわざでも、危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と言いますね(資産運用でいう「リスク」は「危険」とはちょっと違いますが)。でも、虎穴に入れば必ず虎児を得られるというわけではないのです。